スパウト部は回転させないといけないため、パッキンは特殊な形となっており、
一般的なOリングよりも耐久性が悪く水漏れしやすいです。
シングルレバー混合栓は長く使えば必ずスパウト部から水漏れするため、
いつか修理することになります。
やや難しいですが、修理方法を書いていきます。
しかし、原因が複数あり、この部品を交換すれば直るとはなかなか言えない箇所です。
そのため、最初に原因を書いていきます。
原因:パッキンかスパウトかカートリッジか本体か…
原因は主に4つあります。
1、パッキンの劣化
2、スパウトの腐食など
3、カートリッジ(バルブ)の故障
4、本体の腐食など
一つ一つ可能性を潰さないといけません。
パッキンとスパウトの可能性が高いです。
まずはこの二つを疑います。
少しでも原因を絞るために最初にスパウトの上下どちらからの水漏れなのかを確認します。
下側であれば、カートリッジの可能性は消えます。
次に、水を出していないでもスパウト上部から水が止まらず漏れてくる場合、
この場合はカートリッジの原因である可能性が高いです。
この場合はカートリッジの交換を視野に入れたほうがいいです。
ここまで確認してから、最初は一番手ごろなパッキン交換をやります。
修理手順1:止水栓、または元栓を閉めて水が出ないようにする
スパウト部の水漏れの修理はスパウトを取り外すところまで分解するため、
水が出ない状態にして修理をする必要があります。
こちらのページを参考にして、止水栓または元栓を閉めてください。
修理手順2:レバーハンドルのキャップを取り外す
※最初に部品が転がっていっても問題がないように、排水口をフタします。
では、手順です。
レバーハンドルの正面にキャップがありますので、
それを爪や爪楊枝などで引っかけて外します。
↓これがキャップです。挿入してあるだけなので、簡単に外れます。
修理手順3:レバーハンドルを固定しているねじを緩める
キャップを外したレバーハンドルを上げて中を見ると、
中にねじがあるのが見えます。
このねじはプラスドライバー式と六角レンチ式の2種類あります(蛇口の年代により違う)。
中身のねじを見て、どちらかを確認しましょう。今回は六角レンチです。
六角レンチの場合、サイズは「対辺3mm」となります(この蛇口の場合)。
100円ショップにも売っています。
このねじを回して緩めます。完全にねじを緩める必要はなく、
2回転くらい回すとレバーが抜けます(レバーを上に引っこ抜きます)。
↓このように、ねじを緩めていきます。
反時計回りに回すと緩みます。
少し緩めたところで、レバーを引き抜きます。
修理手順4:カートリッジ押さえを外す
次に、カートリッジ押さえと呼ばれる部品を外します。
これがちょっと大変で、初心者が苦労するところです(とてもかたく力がいる)。
下図のように二つの工具(モンキーレンチと専用工具)を使用します。
下の長い棒のような工具は、TOTOの蛇口修理専用工具です。
これがないとカートリッジ押さえを外すことができない水栓があります。
※最近は使わなくても外せるタイプになりました。
必要かどうかは分解図や施工説明書を確認ください。
蛇口本体を固定して、供回りしないようにする工具です。
この工具の全体図はこちらになります。
「TZ36」という工具で、台所の台付1穴タイプのシングルレバー混合栓によく使います。
値段などはこちらを TZ36(楽天市場)
簡単に使い方を説明すると、この専用工具を蛇口裏側にある穴に差し込んで使います。
修理手順5:カートリッジを外す
こうして頑張ってカートリッジ押さえを外すと、カートリッジ本体が見えます。
カートリッジの上の部品を外します。
そうすると、カートリッジが丸裸状態になります。
手で取りましょう。
ここは簡単です。
修理手順6:スパウトを外す
やっとスパウトまでたどり着きました。
ここは簡単。引き抜くだけです。
引き抜いたら本体が見えます。
この本体に付いている黒いパッキンが、水漏れの原因となるパッキンです。
修理手順7:パッキンを外す
古いパッキンの場合は劣化して触ると手が真っ黒になることがあります。
気になる人は手袋などして触りましょう。
このように竹串など本体に傷が付かないもので外します。
上下とも外します。
修理手順8:スパウトの内面を清掃する
スパウトが原因での水漏れの場合、
スパウトの内面にゴミが付いていたり、でこぼこになったりしています。
でこぼこになるのは経年劣化と見られ、その場合はスパウトの交換となります。
パッキン交換で直ることが多いですので、まずは清掃して使いましょう。
修理手順9:本体のパッキン取り付け部を清掃する
本体側のパッキンを取り付けるところも清掃しておきましょう。
古いパッキンの破片が付いていたり、ゴミが付いていたりします。
これを綺麗に拭かないと水漏れしますので、よく拭きます。
上下ともよく拭きましょう。
ただし、傷は付けないよう注意してください。
修理手順10:新しいパッキンを取り付ける
ようやく新しいパッキンを取り付ける手順になりました。
上下とも向きがあるので注意してください。
※最近、パッキンの形状がX状になり、向きが無くなりました。
向きがあるのはU状のパッキン(下図)となります。
開いている方向を内に向けて取り付けます。
方向と、よじれていないか、よく確認しましょう。
問題が無ければ、グリスを塗布します。
(最近のX形状のパッキンはグリス塗布済みなので必要ありません。
よって今パッキンを注文するとグリスは必要ないかもしれない。
ただあくまでも現在での話し。事前にグリス要否は事前に確認するといいでしょう。)
私が使うグリスはこちらになります。
蛇口にはシリコングリスという種類のグリスを塗布します。
詳細はこちらを。
グリスを塗布しなくても使えますが、
耐久性が悪くなったり、すぐかたくなってしまう可能性があります。
少量の安いグリスも売られていますので、余裕があれば購入してください。
修理手順11:スパウトを取り付ける
スパウトを上から挿入します。
パッキンがめくれないよう注意して、真っ直ぐ垂直に入れ、
かたい場合は少し左右に動かしながら挿入していきます。
挿入したら、左右に動かしてスムーズに回ることを確認します。
修理手順12:カートリッジ(バルブ)部を取り付ける
本体にカートリッジを取り付けます。
位置を合わせて置くだけです。
位置は本体の穴とカートリッジのでっぱりを合わせます。
次に、カートリッジ押さえを取り付けます。
時計回りに回すと締まっていきます。最初は手で回します。
カートリッジが回らないよう注意してください。
最後に工具を使って締め付けます。
最後にカートリッジの上に付ける部品を取り付けます。
方向性があるので注意してください。図の向きです。
修理手順13:ハンドルを取り付ける
ハンドルをねじで固定します。
六角レンチの場合、最初は長い側で回して、
かたくなったら短い側で締めていきます。
ハンドルを取り付けたら、キャップをして完成です。
修理手順14:止水栓・元栓を開けて水を出す
止水栓、または元栓を開けて水を出します。
スパウトの水漏れは主に水を流している時に漏れますので、
水を流しながらスパウトを左右に回し、水漏れ有無を確認しましょう。
■まだ水漏れする場合
水漏れが直らない原因としては、パッキンの取り付け方が悪い、
スパウトの内面がでこぼこになりすぎてパッキンが効いていない、
スパウト上部からの場合はカートリッジから水漏れしている、
・・・このような原因が考えられます。
こちらも見てみてください。
余裕があれば再度分解してパッキン・スパウトの内面を見て、
特にスパウトのでこぼこ具合を確認しましょう。
これらに全く異常が無ければ、カートリッジかもしれません。
一つ一つ原因を潰していくしかなく、部品代が無駄になる可能性も高い修理です。
ただ、パッキンは安いので、修理依頼をする前にとりあえずパッキンだけ交換するのも手です。
この蛇口は安いので、スパウトやカートリッジを交換するのであれば、
買い替えしたほうが安く済むかもしれません。1万程度で購入可能です。