お風呂の蛇口のシャワーで、
温度が熱くなったり冷たくなったりすることがよくあります。
そんなものだと思う人、故障だと思う人もいます。
実際、故障ではないことが多いです。
その理由について書いていきます。
最初に仕組みについて
まず、蛇口(混合栓)の仕組みから説明します。
浴室の蛇口は水道管から来る水と、
水道管から給湯器を通ってくる水(お湯)の二つを混合して出しています。
*参考図:KVKホームページより引用
サーモスタット混合栓では、ハンドルに「40」という目盛りがありますが、
それは水と湯を混合し、ちょうど40℃になる位置のことです。
だから蛇口が温度を自動調節しているわけではなく、手動調整となっています。
40の位置で40℃が出るよう、自分で調整しないといけません。
※調整の仕方はこちらを。
温度調節ハンドルの表示温度より低い温度が出る場合の原因と修理方法
ハンドルをC側(冷たくなる方)に回すと、
中のバルブがお湯の混合を少なくするため冷たくなります。
よって単に混合しているだけなので、
蛇口が原因で熱くなったり冷たくなることはほぼありません。
実際には混合だけでなく、自動での微調整もしています(それがサーモ)。
水温により自動でバルブが動き、温度の一定を保ちます。
ただわずかな調整なので、急激な水圧の変化等があると、温度は変化します。
なぜ熱くなったり冷たくなるのか
それは、蛇口に届く水の温度が変化、または水圧が変化するためです。
まず温度変化について説明します。
水道管から来る水の温度はほぼ一定ですが、
給湯器から来るお湯は一定ではありません。
ガス給湯器の場合、一定以上の水が流れると燃焼し、
水を止めると燃焼も止まります。
火が点いたり消えたりすることで、温度は変化してしまいます。
出始めが熱かったり、冷たかったりするのはこのためです。
どうしても均一の温度にはならないので、熱くなったり冷たくなったりします。
また、ガス給湯器の特徴である「冷水サンドイッチ現象」も温度変化の要因の一つです。
温度が安定するまで、燃焼具合の調節を繰り返すことで起こります。
例えば、熱くなり過ぎたら燃焼を緩め、ぬるくなり過ぎたら燃焼を強くする、を繰り返します。
何回かその調節をすることで、最後は設定温度で安定させて出るようになります。
これはガス給湯器の性能的な問題であり、故障ではありません。
今流行りのエコキュートにおいても温度が変化します。
出始めは必ず冷たくなるように設計されているものもあり、
その場合は必ず途中で一度冷たくなります。
(ここは今後どんどん性能が良くなっていくことでしょう。)
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次に水圧の変化について説明します。
水道管には水圧がかかっており、解放すると水が出ます。
水道管から家に配管を引いて、蛇口や給湯器に接続します。
そして蛇口を使用すると、水圧により水が出ます。
また、水圧が下がります(流動圧が下がる)。
それがお風呂の蛇口だけなら下がった状態で一定なのですが、
トイレを使用した、外の蛇口を使用したなど、
他の箇所から水を出すとさらに水圧が下がります。
よって、シャワーを使っているときに、台所で水を使われると水圧が下がり、
蛇口の湯水混合具合が変化して、温度が変化します。
水圧が高い家の場合はたいして変化はありませんが、給湯器の場合は別です。
給湯器は能力というものがあり、複数箇所でお湯を使用されると、
水の出が急激に悪くなったり(流量制限)、温度が下がります(能力オーバー)。
よって、シャワーを使用している時に台所でお湯を使うと、
お湯の混合が少なくなり、シャワーの温度が低くなります。
冷たい水を使うと、シャワーが熱くなります。
毎回同じタイミングで温度が変化するならば、給湯器の性能的な要因、
タイミングはまちまちならば、水圧の変化と考えます。
対処法
故障ではないため修理は不可能です。
冷水サンドイッチ現象の場合、最新のガス給湯器にするのも良いです。
最近のものは温度変化が少なく、とても優秀です。
昔のガス給湯器は流量制限がなかったり、
燃焼が下手で安定に時間がかかります。
何事も進化しているものです。
他の蛇口を使用して温度が下がるようであれば、
給湯器を高圧対応のものにするなどの方法もあります。
止水栓調整で少しでも水圧の低下を避けることもできますが、あまり期待はできない。
結論としては、蛇口の故障ではないので、
温度変化で気になるようであれば、給湯器のメーカーに問い合わせてみてください。
冷たい状態が20秒も続くようであれば、
蛇口の逆流なんかの要因もありますが、可能性は低いです。
どちらにせよ、改善する見込みは低いので期待は禁物です。
よほど我慢できないようなものでない限り、諦めることになります。
こちらにももう少し違う原因を書いているので、是非見てみてください。